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院長の雑感 バックナンバー


肩書とは?

 名刺には肩書が通常記載されている。多くの方と名刺交換を行ってきたが、頂戴した名刺には肩書が一切書かれていないものもあった。肩書がなくとも自分のことは知っているだろうと主張するがごとく、大判厚紙の和紙に毛筆字体で名前が大きく印刷されて、普通の名刺入れには入らないものもあった。政治家の大先生、大きな団体組織の頂点の方、芸能人の方であった。昔の名刺の使い方には、開業医先生が自分の名刺の余白に紹介先の病院、先生の名前と「よろしく」とのみ万年筆で書かれたものを患者さんに渡し、紹介状代わりというものがあった。もちろん多くは、あらかじめ電話で紹介先に詳細を伝えてあったのだが。
 以前、比較的空いていた電車の中で見た光景である。2名の高齢と思われる男性が、言い争いをしながら、席の取り合いしていた。別に他にも席は空いているのに。どうも、電車に乗るとき、一方が先を越して乗り込んだことによるトラブルらしい。その言い争いが大変興味深く、「俺は前期高齢者だ。」と一方が言うと「何を言っている。俺は後期高齢者だ。お前は戦争にいってないだろう。」と言い返していた。不穏な雰囲気なので、私は別の車両に移動したので、結末は不詳である。前期高齢者、後期高齢者間でヒエラルキー(階層構造)があるのかと妙に感心した。もっとも、死後、あの世に行っても戒名という肩書があり、それが階層構造となっているとの噂もあるらしいが、定かではない。
(2023 /9/7  院長/竹林 茂生)

働きがい(働き甲斐)とは

「生きがい」、「やりがい」という言葉はあるが、「働きがい」という単語は無いという意見もある。実際、広辞典には「生きがい」という単語はあるが、「働きがい」は掲載されていない。しかし、最近の厚労省の公文書には「働きがい」の単語は使用されており、ネットの「goo 辞書」には「働くことによって得られる結果や喜び」と説明されている。長年にわたってロック界のトップを走り続けている永ちゃん(矢沢永吉さん)は、「何を探していいのか?追えるものを持っているか?」と問いかける。「自分はひたすらやれることを持っている。やることがあるから嬉しいし、感謝だけである。これは理屈ではない。お金が儲かるだけでは続かない。」と述べている。そもそも仕事は社会に参加し貢献することと定義され、お金を稼ぐためではない。一方、金儲けは自分の生活時間を売った対価としてお金をもらうことである。この仕事と金儲けの違いは明確に区別する必要がある。
 新型コロナ感染症が2類から5類になり、病院は落ち着いてくるかと思えたが、看護師の離職問題が表面化してきている。これは当院のような超急性期、急性期あるいは回復期病院に拘わらず日本全国の多くの病院の課題となっている。看護師の世界では看護学校卒業後3年間は頑張って超急性期、急性期病院に勤務することが望ましいとされてきていた。しかし、3年も経たずに辞めてしまう人が多くなっている。回復期にも看護師が集まらないことから、看護師という職業を一時的にしろ、辞めている可能性がある。この早期退職は医療界に限らず、大手の企業でも見られる現象であるらしい。終身雇用が崩れてきたことにより、就職後3年以内位にその企業に見切りをつけて、新しい職場を探すという。「働き甲斐」よりも「働き易さ」を追求しているのか?このような世の中の変化の中では、新人教育は今まで通りの方法ではダメであることを認識しなければならない。とくに経験がものを言う医療現場では上司が「自分はこうして育っていった」という理屈から離れられないと、一生懸命に教えていても上司さらには病院への不満は増し、上司に「言っても無駄」、この病院に「いても無駄」と考え、突然、辞表を出すのであろうか。前述の「永ちゃん」の言葉がとても心に響くこの頃である。
(2023 /6/12  院長/竹林 茂生)

医師の働き方改革 と「メサイヤ コンプレックス」

 医師の働き方改革とは医師の長時間労働の制限を行い、彼らの労働環境改善と健康確保を目的とした国家政策である。2024年度よりの本格的実施に向けて現在、各病院とも調整中である。「24時間働けますか?」は昭和のサラリーマンの合言葉であったが、現在では死語となっている。労働基準監督署の医師一人ひとりの月100 時間以上の時間外勤務はダメという指導は、救急など緊急性のある現在の医療現場の実情とはかけ離れているが、違反すると病院長に前科一犯がつくとも言われる。
 医療は医師や看護師などの医療職の自己犠牲で支えられてきたとされる。ではなぜ、医療職はそんなに働けるのか?超過勤務手当目的だけで働いているとも思えない。医療職の強い使命感のおかげなのか?心理学的アプローチからは、メサイヤ(Messiah/-救世主)コンプレックスの可能性も上げられている。メサイヤ コンプレックスの根底には①自分に自信がなく、誰かに感謝されたい行動をしないと社会から受け入れてくれない。②人を助けることでidentity(自分は何者なのか)を確認しており、自己犠牲をしてまで助けようとする。③周囲から、感謝された経験から自己犠牲を行い受け入れられるようにする。④幸せな者は慈善活動をするものだという観念に囚われている。実際、この複雑な心理状態はマイナスなものと思われているようでメサイヤ コンプレックスの人は燃え尽き症候群に陥りやすいとされている。
 しかしながら、現在の多忙な医療の現場はこのような人々の存在で成り立っていることは否めない。いずれにしろ医師の働き方改革は、令和の新時代では正しい姿かもしれない。自己犠牲を払い、人々から尊敬を受けていた医師という職種から自己犠牲の少ない職種に変わり、「医師」という名称もいつの日かに「医士」に変更されることが、杞憂に終わることを願いたい。
(2023 /4/20 院長/竹林 茂生)