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乳腺センター


1.済生会横浜市南部病院 乳腺センターについて

 これまで当院では外科の専門外来の一つとして乳がん診療を行ってまいりましたが、2022年4月より体制を整備し、新たに乳腺センターを立ち上げることになりました。
 「横浜市南部地域の乳がん診療に貢献する」という乳腺センターのビジョンのもと、高度な専門性を持つ多職種のメディカルスタッフによるチーム医療を実践してまいります。


乳腺センター長 吉田 達也

2.当センターの特徴

当院は日本乳癌学会認定施設です。

乳がん診療

・国内外のガイドラインに基づいた標準治療を原則としつつ、患者さんの価値観や人生観を大切にし、患者さんにとって最善の医療を提供します(標準治療:現在わかっている最良の治療のこと)。

多職種によるチーム医療

・放射線科、形成外科、病理診断科、緩和医療科などの診療科医師、外来・化学療法室・病棟看護師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師などの多職種によるチーム診療を実践しています。

遺伝性乳がん診療

・遺伝性腫瘍としての乳がん診療に特に力を入れております。      
・臨床遺伝専門医を有するスタッフによる遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を実施しています。
・遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)患者に対するリスク低減乳房切除術(保険診療対象症例のみ)実施可能施設です。

3.乳がんの診断、治療について

1)診断

 可能な限り初診時当日にマンモグラフィや超音波検査などの検査を行い、早期診断、早期の治療開始に努めています。
 乳がんが疑われる乳房腫瘤に対してはコア針生検や吸引式乳房組織生検を実施し、病理診断科に組織診断を依頼しています(検査は木曜午後)。
 乳がんと診断された場合、乳房内の病変の拡がりを調べるためのMRI検査や、必要に応じて全身への拡がりを調べるためのCT検査を用いて乳がんの進行度を決定しています。

乳がんの進行度について
 精査の結果異常なし、あるいは良性腫瘍と診断された患者さんについては、当院での横浜市乳がん検診や、近隣乳腺クリニックでの経過観察をご紹介させていただいております。

2)治療

 切除可能乳がん治療では、局所療法としての手術(場合により放射線治療併用)、さらに浸潤癌の場合には全身治療としての薬物療法が必要となります。

 当センターでは乳腺専門医、がん薬物療法専門医である吉田を中心に手術・薬物療法を担当しております(治療の詳細については各リンクをご参照ください)。

初診から治療開始までの期間

【当院で生検を行う場合】
化学療法:約3週間  / 手術:4~6週間

【ご紹介元医療機関で組織診断が得られている場合】
化学療法:1~2週間 / 手術:3~4週間

※2022年4月現在の目安であり、諸条件により変動いたします。
薬物療法
 その乳がんの性格(サブタイプ)によって内分泌療法、化学療法、分子標的薬の組み合わせが決定されます。当院ではガイドラインに示されている通りの薬物療法が実施可能です。

サブタイプについて(作成中)
術前術後薬物療法について(作成中)


・HER2陽性乳癌やトリプルネガティブ乳がんなど、サブタイプによっては術前化学療法を選択する場合があります。
手術療法
 病変の乳房内の発生部位や拡がりをもとに「部分切除術が可能か」、「全切除術が必要か」を決定しております。
 術前画像検査で腋窩(わきの下)リンパ節転移なしと判断した症例にはセンチネルリンパ節生検を行い、腋窩郭清省略を検討しています。

乳がんの手術について

当院の乳がん手術件数

放射線療法
 温存手術後には温存乳房に対して、また全摘症例でも浸潤径が大きい場合や複数のリンパ節転移が認められた場合には、放射線科医師の診察のもとで放射線治療を施行しています。

放射線療法について
※乳房再建について
 全摘術の方針となった方で乳房再建術をご希望された場合、当院形成外科と協同して、エキスパンダーを用いた二期再建術を行っております(一次・二次とも)。
 当センターでは、「リンパ節転移陰性」かつ「術後放射線療法が必要ない」症例を、乳房再建の適応としております(遊離自家組織再建術は専門施設に紹介しています)。
 病変が乳頭乳輪より離れている場合、乳頭温存乳房全切除術も施行しています。

再建手術について

※当院では「一次二期再建」および「二次二期再建」を実施

切除不能乳がん、再発乳がん治療
・局所進行あるいは遠隔転移を伴う切除不能乳がんや、術後再発をきたした場合、治療は薬物療法が主体となります。
・緩和医療科と連携して転移再発に伴う症状緩和に対処しております。

進行再発乳がんの治療について(作成中)
※治験について
乳がんの新規治療開発、新薬開発を目的として国内で実施されている治験の情報を定期的にアップデートしております。対象となる患者さんに対しては、神奈川県立がんセンター乳腺内分泌外科で実施されている治験についての情報を提供しております

4.遺伝性乳癌に対する診療

 日本人乳がん症例の約5.7%が遺伝性乳がんで、そのうちの約7割が「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」であるといわれています。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群について(作成中)

 当センターでは、HBOC診療にも力を入れております。
 HBOCが疑われる患者さんに対する遺伝学的検査や、「家族歴や発症年齢などからHBOCが疑われる乳がん患者」や「実際にHBOCと診断された患者」に対する遺伝カウンセリングなど、一般的には専門の遺伝子診療科に依頼されることの多い遺伝性乳癌に関する診療も当センターで行っています。
 またHBOCと診断された乳がん卵巣がん患者で、乳癌発症前の乳房予防切除を希望された方に対するリスク低減乳房切除術(保険診療対象症例のみ)の実施可能施設となっています。
 なお、当センターでは保険診療内での対応となり、当院で実施できない自費の検査や、乳がん卵巣がん未発症者に対するリスク低減乳房切除については、HBOC診療で連携を組んでいる横浜市立大学附属病院遺伝子診療科に依頼させていただいております。

5.多職種によるチーム医療

 乳がん患者さんが乳がんと向き合う時、治療以外にも、病状の告知やその受け入れ、適切な治療への理解、副作用への対策、経済的負担や就労への対策など、様々な問題に直面するようになります。

 患者さんが安心して治療を受けられるように、複数の職種がお互いの連携を密に保ちながら、患者さんやそのご家族に対してこれらの問題への支援を目標としたチーム医療を実践しております。

 院内だけでなく在宅での診療や生活を支える地域の医療機関・福祉関係職種の方々との連携も密にしていきます。

6.院外活動

NPO法人 神奈川乳癌研究グループ(KBOG)の活動である以下の2つに参加しております。

・よこはま乳がん学校
https://www.yokohama-bcs.com/
 「全人的な乳がん診療」を実践するためには、手術や化学療法などの最新治療はもちろんのこと、診断から周術期のメンタルケア、治療に伴う副作用対策、高額医療制度などの社会的支援、治療終了後の就労支援に至るまで幅広い知識が必要となってきます。
 よこはま乳がん学校は、神奈川県内外の看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどのメディカルスタッフに対して、乳がんを中心としたがん診療に関する専門知識を学ぶと共に、各職種の専門性を理解してチーム医療の推進と人材育成を目的した講座です(HP、規約より抜粋)。

・かながわ乳がん市民フォーラム
http://bccf.html.xdomain.jp/
 神奈川乳癌治療研究会の活動の一環として、2002年から毎年1年に1回、夏に開催している市民のための講演会です。
 乳がんの治療を受けている方やご家族、患者様に関わる周りの方々が抱える様々な疑問や不安、悩みなどの解決に役立つ情報をお届けする会です。専門医による乳癌の治療や、心のケアに関する講演、乳癌体験者の方のお話、事前アンケートを基にしたパネルディスカッションなどの内容で実施しております。(HPより抜粋)

7.スタッフ

吉田 達也

乳腺外科主任部長
乳腺センター長
吉田 達也

専門

乳腺外科、がん薬物療法、遺伝性腫瘍

資格

・日本外科学会 専門医
・日本乳癌学会 乳腺専門医・指導医・評議員
・日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医
・日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
・日本遺伝性腫瘍学会 遺伝性腫瘍専門医・評議員
・日本オンコプラスティックサージャリー学会
 乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医
・日本癌治療認定医機構 がん治療認定医
・日本乳がん検診制度管理中央機構
 検診マンモグラフィ読影認定医/乳がん検診超音波実施判定医
・医学博士

岡本 咲

【役職】
医員
【専門】
乳腺外科
【資格】
・マンモグラフィ読影認定医
・外科学会外科専門医
・乳癌学会乳癌専門医
・癌治療学会癌治療認定医

佐藤 泉

【役職】
医員
【専門】
乳腺外科

8.診療案内

診療案内

乳腺センターの初診外来は、毎週月曜日・木曜日の11時までとなっています(祝日・年末年始を除く)。
地域の医療機関(かかりつけ医)からの紹介状をご用意いただき、患者さん本人もしくはご家族よりご予約の上ご来院ください。

初診のご予約

初診外来のご予約はお電話またはWEBにて承っております。詳細については以下をご確認ください。

乳腺外科初診外来予約について詳細はこちら

9.さいごに

乳がんの治療は一刻を争うものではありません。
通常の乳がんの場合、直径5mmのがんは約1年経過して直径1cmのがんになります。
決して早いスピードではありません。病気や治療について充分な説明を受け、自分自身で納得した上で治療をうけることが大切です。
後になって「こんな治療があったのなら…」と後悔をしないように、乳がんを知り、ご自分にとって最善の治療を我々とともに選択しましょう。