グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


ホーム >  診療科・部門 >  病理診断科・病理部

病理診断科・病理部



診療の特長・特色

病理診断科・病理部

病理診断科・病理部では、病理医、病理技師(臨床検査技師・細胞検査士)が連携して、迅速かつ正確な病理診断を心がけ、日々診療にあたっています。

病理診断は、全身の臓器・組織を対象とし、さまざまな診療科から提出される検体についておこなっています。その診断が、治療方針に大きく影響を与えることもあり、病理医は”Doctor of doctors”といわれています。

当院では、病理診断科外来を実施していないため、病理診断科を直接受診していただくことはできませんが、
他院からの紹介患者様につきましては、紹介受診された科を通して、持参標本の病理診断をおこなっています。

スタッフ一同、南部病院を受診された患者様に質の高い病理診断を提供できるよう努めています。

1.組織診断(組織診)

病変の診断や治療の評価などを目的としておこなわれます。
生検検体、手術検体があり、手術検体には術中迅速診断も含まれます。

・生検検体:消化管内視鏡でなどで病変の一部を採取し、その診断をします。癌なのかどうか、癌であった場合、どのような癌なのかを調べます。採取された検体から病理組織標本を作製し、病理専門医が診断します。必要により免疫染色など詳細な検討もします。本院では通常、採取日から2-3日後には診断報告がおこなわれています。

・手術検体:癌などで切除された組織・臓器の診断をします。どのような癌か(組織型)、広がりはどのぐらいか、取り残しはないかなどを調べます。それらは臨床医が今後の予後を予測する判断材料となります。手術検体は生検検体より診断に時間がかかりますが、当院では患者様の退院までにできるだけ診断が出るように心がけています。

・術中迅速診断:乳腺のセンチネルリンパ節や断端のように手術範囲・方法(術式)の決定を目的として、あるいは術前病理診断が難しい腫瘍(脳腫瘍や一部の肺癌、軟部腫瘍など)の診断確定などを目的としておこないます。最終的には手術標本での診断が必要ですが、手術中におおまかな診断をおこないます。
(手術組織標本の例)

ほぼ正常の膵臓

膵臓の癌(腺癌)

正常部と病変部(ここでは癌)とを比べることで、細胞の性状の違い(異型の有無)、構造の違い(構造異常・構造異型)などから、腫瘍の診断をし、悪性度、広がりなどの評価をおこない、腫瘍に応じで病期の分類をします。これらに基づき、手術での切除範囲や抗癌剤治療などの必要性、予後などを臨床医が判断します。

2.細胞診断(細胞診)

患者様の侵襲(負担)が小さい方法で組織診断より少ない検体を採取し検査、診断をおこなうものです。代表的なものとしては子宮頚部スメア、尿、胸水・腹水、喀痰などがあります。甲状腺や乳腺に細い針を刺しておこなう穿刺細胞診などもあります。癌など、正常細胞と大きく細胞像が違うものは診断が容易ですが、一部の癌などでは正常細胞との違いが少なく(=異型が弱い)、診断が難しいこともあります。

細胞診の検体処理は組織診より早くおこなうことができるため、報告は組織診断より早く最短で翌日、通常翌々日となっています。至急の場合は当日中に報告ができるものもあります。
(細胞診標本の例)

ほぼ正常の膵管上皮細胞(反応性変化)

膵癌(腺癌)の細胞

正常の細胞と癌細胞とは形など明らかに異なりますが、組織標本とは違って細胞同士がどのような構造をとっているかは判断が難しいこともあります。

3.病理解剖(剖検)

亡くなられた患者様について、病気や死因をさらに調べたい場合に、ご遺族の承諾をいただいておこなうものです。全身臓器の観察と診断をおこない、個々の組織・臓器のみではわからないことを明らかにすることができます。組織診断、細胞診断よりも時間がかかりますが、医学の基本である人体の構造と機能、その変化を全身レベルで検討します。疾病の状態の把握と解析、死因の解明などが今後の医学の発展につながります。

●病理検体について
病理診断のために採取された検体は標本、ブロック等として診療録(カルテ)同様、所定の期間保管されます。適正な診断業務(診断精度や水準の維持・向上)のため保管ブロック、標本を使用することがあります。
なお、研究に使用する場合は、患者様あるいはご家族の同意、倫理委員会等の審査など、所定の手続きが必要であり、これらの手続きなしに使用されることはありません。

スタッフ紹介

病理診断医

医師名 職位 専門分野 専門医資格等
中山 崇 主任部長 病理診断
細胞診断
日本専門医機構病理専門医
日本病理学会学術評議員・研修指導医
日本臨床細胞学会細胞診専門医・教育研修指導医
医学博士
村上 あゆみ 部長 病理診断
細胞診断
日本専門医機構病理専門医
日本病理学会学術評議員・研修指導医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
医学博士

臨床検査技師(細胞検査士)

技師名 役職 専門資格等
三田 和博 技師長 日本臨床細胞学会細胞検査士
日本臨床衛生検査技師会認定病理検査技師
木村 由佳 日本臨床細胞学会細胞検査士
日本臨床検査同学院二級臨床検査士(病理)
日本臨床衛生検査技師会認定病理検査技師
鈴木 玲子 日本臨床細胞学会細胞検査士
国際細胞学会国際細胞検査士
石井 輝子 日本臨床細胞学会細胞検査士
国際細胞学会国際細胞検査士
日本臨床検査同学院二級臨床検査士(病理)
日本臨床衛生検査技師会認定病理検査技師
妹尾 詩織 日本臨床細胞学会細胞検査士
日本臨床検査同学院二級臨床検査士(病理)
鈴木 玖風 日本臨床細胞学会細胞検査士
日本臨床検査同学院二級臨床検査士(病理)

医療事務

医療事務(病理)
非常勤1名 病理事務全般、外注検査ほか
病理診断科は、診療部として病理医が組織診断、細胞診断、剖検診断の病理診断業務(診療)にあたっています。また細胞検査士は細胞診のスクリーニングをおこなっています。

病理診断にあたっては、常勤医師2名に加え、横浜市立大学大学院医学研究科分子病理学・病態病理学、および横浜市立大学附属病院・市民総合医療センターの病理診断科・病理部と連携して、診療支援を受けるとともに、病理専攻医の受け入れを行っています。

対象疾患

病理診断は、頭から足まで全身を対象としており、全科の疾患・領域を対象としています。当院でもほぼ全科から検体が提出されています。

1.組織診断(組織診)

一般的な傾向として消化管、婦人科領域、皮膚科領域の検体が多く、当院でも胃や大腸を中心とした上部・下部消化管症例が最も多くなっています。婦人科領域、皮膚科領域の疾患も豊富です。消化管領域では、大腸腺腫、大腸癌、胃癌を中心に食道癌や消化管間質腫瘍(GIST)などの癌・腫瘍の診断を中心に非腫瘍性疾患の診断もおこなっています。婦人科領域子宮頸部の異形成(上皮内病変)、子宮頸癌、子宮内膜増殖症、子宮体癌、卵巣腫瘍(良性、悪性)をはじめとした診断をおこなっています。皮膚科領域では有棘細胞癌、基底細胞癌をはじめ付属器の腫瘍病変のほか、湿疹、乾癬、苔癬、水疱性疾患、感染性疾患、血管炎・膠原病アレルギー性疾患ほか多彩な症例を扱っています。術中迅速としては、乳腺のセンチネルリンパ節や断端、消化管・消化器手術における断端のほか、婦人科では卵巣腫瘍の術中迅速が多くおこなわれています。

当科の特長としては、当院消化器内科が、消化管に加えエコー下の膵胆管系の生検にも力を入れており、細胞診検体とあわせて組織検体も提出される症例が多く見られます。また血液内科も充実しており、悪性リンパ腫や白血病や多発性骨髄腫ほかの骨髄検体も豊富です。

2.細胞診断(細胞診)

婦人科検体が最も多く、次いで泌尿器領域検体が多くなっています。これは当院に限らず一般的な傾向です。婦人科検体では腟・頸部の異形成病変が最も多く、頚部の癌、内膜細胞診(増殖症や癌など)の診断をおこなっています。泌尿器領域検体は泌尿器科以外の科の尿検体も含まれ、泌尿器科の膀胱洗浄、カテーテル尿などとあわせ膀胱癌やそのた尿道の癌を中心に診断をおこなっています。

当院では消化器内科、呼吸器内科の診療が充実しており、膵胆管系のエコー下穿刺細胞診(EUS-FNA)検体での膵胆管腫瘍(胆管癌、膵癌など)や喀痰、気管支擦過・洗浄細胞診検体での肺癌(腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌など)も多くなっています。

診療実績

病理診断科は院内各科からの病理検体について診断をおこなっています。おもな診療実績は下記のようになっています。
なお、免疫染色は院内で自動免疫染色装置を用いておこなっています。乳癌のER、PgR、HER2、胃癌のHER2は院内でおこなっています。遺伝子検査・MSI検査、一部の免疫染色などは外注検査で対応しています。
2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
組織診断 生検等 4425 4172 4775 4563 4501 4382
手術 2534 2616 3061 2917 2835 2783
迅速 202 186 235 196 188 161
7161 6974 8071 7676 7524 7326
細胞診断 5559 5272 5901 5794 5960 6179
病理解剖
(剖検)
内科系 11 1 18 17 14 10
内科以外 3 0 0 3 1 4
14 1 18 20 15 14