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膝周囲骨切り術について


膝周囲骨切り術について

変形性膝関節症では多くの患者さんが、膝関節の内側の軟骨が擦り減り、O脚変形を来します。
そのためにますます膝関節内側にかかる体重負荷が増加して、O脚が進行し、膝の痛みがさらに強くなるという悪循環を来します。

O脚が進行し、膝の痛みがさらに強くなった場合でも、膝の外側には比較的正常な軟骨が残っていることも多くあります。
O脚のために内側に偏った荷重に対して、脛骨または大腿骨を切り、下肢全体の角度を変えて、荷重を外側に移動させる、下肢アライメントの矯正手術です。
変形の程度や矯正角度によって、さまざまな術式があります。患者さん1人ひとりの膝の病態、生活様式を正確に評価し、その患者さんにとって最善の治療方法を提案いたします。
各術式を使い分け、適応のある患者さんには積極的に関節温存手術を行っています。

対象疾患

変形性膝関節症、大腿骨顆部骨壊死、脛骨骨壊死、半月板障害

特徴

・自分の膝関節を残す関節温存手術です。
・術後、擦り減った軟骨が再生される症例もあります。
・手術を行い骨癒合が得られた後は、日常生活に対する制限は比較的少ないです。関節温存手術なので、スポーツに対する運動制限は特にありません。農業や重労働を含め趣味を再開する患者さん、仕事へ復帰される患者さんが多くいます。
・手術の始めに、関節鏡を行い膝関節内の状態を確認します。必要に応じて関節鏡下に軟骨・半月板・靭帯・滑膜に対する処置を行っています。
・骨癒合するまでは多少痛みが続きます。機能回復まではリハビリテーションをしっかり行う必要があります。
・骨癒合が得られたら、術後1年~2年をめどに、金属プレート、スクリューを抜く手術を行います。

手術方法

高位脛骨骨切り術 Open Wedge High Tibial Osteotomy (OWHTO)

最も代表的な膝周囲骨切り術です。脛骨の内側から外側に向かって骨を切り、内側を開いて矯正します。
開いた部分には人工骨を使用しますが、これは徐々に自分の骨に置換されます。
適切な矯正角度で金属プレート、スクリューを用いて固定します。侵襲や合併症が少ないことも特徴です。

Double Level Osteotomy

矯正の角度が大きい場合は脛骨だけで矯正できる角度には限界があります。
変形の原因が大腿骨にもある場合は、大腿骨、脛骨の両方で矯正を行い、より自然に近い形で足のラインを整えます。
大腿骨と脛骨の骨切りを組み合わせた手術です。大腿骨の外側から骨を切り、楔状に骨を取り除き矯正します。脛骨には高位脛骨骨切り術を行います。

Hybrid Closed Wedge High Tibial Osteotomy

矯正する角度が大きい場合や膝蓋・大腿関節症を合併する場合などに適用されます。
脛骨外側から骨を切り、楔状に骨を取り除き矯正します。内側は逆に開大します。
腓骨の一部切除が必要になります。
脛骨外側より骨を取り除きますが、切り取る量は従来の方法に比べて少ないため、脚の長さはほとんど変わりません。

内側楔状開大式脛骨粗面下骨切り術 Open Wedge Distal Tuberosity Osteotomy (OWDTO)

膝蓋・大腿関節症を合併する場合などに適用されます。

脛骨顆外反骨切り術 Tibial Condylar Valgus Osteotomy (TCVO)

脛骨の内側の関節面の変形が強いときに主に施行しています。脛骨の内側と外側の関節面を整えるために関節内に向かう骨切りを行います。
画像はオリンパステルモバイオマテリアル株式会社カタログから抜粋